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  ~懲りない傾向~

凪いでいたあの日

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津波から二週間後、ようやく足を踏み入れることのできた石巻の町は、その年の2月に訪ねたときの記憶と照合するほど言葉を無くしました。風のない埃とヘドロ臭の立ち込めた町なかに立つヒーローの立像よりも、その近くで勝気に笑いながら炊き出しのように肉を焼いて振る舞っていた青年たちの方が、掛け値なしに勇者の背中を思わせた5年前。この仮面ライダーを撮影することそのものに後ろめたさを感じながらも、当時の心境はこんなで、書き留めずにはいられませんでした。

先日発売された月刊誌に、村枝賢一さんがこの立像をキーワードとしながらも、あのときその地で活躍した人々のことを読み切り漫画として描いています。秋田県横手の美術館と、石巻の萬画館をスタンプラリーするともらえる小冊子の内容を再録したものです。

僕はあの時、物言わぬ、動きもしない立像に、偶像なんぞを拠りどころにしてはならないと感じたし、その考えは今でも変わっていません。しかし村枝さんは、津波に流されることなく残ったこの立像に人々は勇気づけられたと、実にやさしい気持ちでネームをまとめています。

その考えもありだなと、このエピソードを素直に読みました。