珈琲のために出かけたのではありません。お冷ならぬ湯飲み茶碗でお茶が出ているこの店は、実は和風喫茶でもありません。
まあね、その昔、煮込みハンバーグを出す蕎麦屋にも行きましたから、蕎麦屋で珈琲が出ることくらい驚くに値しません。が、セルフサービスですけどエスプレッソマシンが置いてあって、(良識の範疇で)おかわり可能というところがエポックなのです。
蕎麦は二八で山芋のつなぎ感がわかる標準な歯ごたえですが、水切りが上手なのでつるつると行けます。ただそばつゆが今風で甘め。わさびを入れても甘め。
この組み合わせは中通りから会津にかけて時々出会った蕎麦だなあと思ってうかがったら、店主は福島県出身の人でした。関東で濃いめのそばつゆになじんでしまうと、これは甘めな上に薄い。むしろ蕎麦よりもうどんで食った方が合うのかもしれません。
それよりインパクトがあったのは天ざるの天ぷらの盛りです。品書きからは「海老とキスの天ざる」を頼んだので、これほど野菜天を盛り合わせてくるとは想像していませんでした。
海老二尾、キス一尾、茄子、南瓜、蓮根、オクラ、山菜、舞茸、椎茸という大盤振る舞い。「魚坊主」って、釣りと魚をイメージしたらそりゃまずいんじゃないか? な店名なんですが、釣果で言ったら大漁です。