今年の状況下ならば、やればそうなるだろうと想像に難くなかった川添選手のシリーズタイトル奪取が現実となりました。最終戦は、もう後藤選手がパーフェクトを足止めする以外になくなってしまったのですが、何が課題かといえば、TDAが年間三戦で行われていることで、これはやはり、あと二戦くらいは増やしてもらいたいところです。
しかし経済情勢の壁もありますし、この手の競技にどれだけの関心、特にスポンサーの目が注がれていくかにもかかっているのですら、簡単に年間五戦に拡張、とは言えないのです。
それはさておき、クラス分割された第二戦は、分割したが故に双方へのエントリーも可能となり、結果として川添パジェロミニがクラス準優勝、同エスクードが優勝という、国士無双で白待ちリーチをかけたような結果を見ることとなりました。長いこと青いパジェロミニで戦い続けてきた彼に、エスクードを与える。手がつけられなくなることは、わかりきった結論なのです。
そこへ、青一色あたりを組み上げ、パジェロミニを振り込ませるに至ったのが、パジェロロングのディーゼルでダートトライアルに臨んでいる、中村選手。この一手は、パーフェクトどころかあわやコンプリートになりかねなかった川添選手にストップをかけた意味で、大殊勲です。
実は中村選手は、パジェロミニとの一騎打ちを待ち望んでいた一人。彼のダートトライアルを極めるルート上で、川添選手を倒すことは悲願でもありました。が、川添選手は本年度からエスクードにスイッチしたため、中村選手の目標も川添・エスクードに変えざるを得なかった。彼としては、三菱同士の決戦で、川添選手に勝ちたかったのです。
「川添くんが青いのと白いので両方にエントリーしたら、どうなるの?」
この質問に、島監督はこにこにしながら
「どうなりますかねえ。それにしても、ドライバーの登録に制限をかけるのを忘れてたなあ」
と言うのでした。
もしや、このクラス分けを敢行し、ドライバーはどちらか一方のみエントリー可能とは言わず、さらにディーゼル車両を小排気量クラスに括ったというレギュレーションは、パジェロディーゼル対パジェロミニの決戦のため、暗にお膳立てをしたのではないかと思いましたが、それは聞かないことにしました。
ここで中村選手には無礼を承知で書くと、今回のレギュレーションを聞くに及び、もしやの想像をしたあとで、このようなよこしまな考えを巡らせたのです。
中村選手の望むステージを用意して、彼らの完全燃焼のままにパジェロミニでこれを完封し、やるべきことはすべてやったと決着をつける。この間、WESTWINでは第三のドライバーとしてデリカを操る宮崎選手にTL52Wを用意し、ロングのエスクードの戦闘力を見せつける。こうなると、WESTWINはほぼ無敵です(いや、たぶん無敵・・・かな)
その流れで中村選手にもTL52Wへの勧誘を促すと・・・ まあそういうあくどい事を考えているからバチが当たったわけではなく、中村くんが実力をもってパジェロミニを打ち負かすリザルトとなり、対エスクード包囲網の戦略は頓挫しているのであります。
それでも、台風の目は依然として2台のエスクード。ここまでは、やればそうなるだろうと考えていましたが、今後はパジェロ・エボリューションや、Jトップ、Jr勢も黙っていないでしょう。このあたりの巻き返しが、必ずや最終戦を盛り上げていくはずです。
えっ? 後藤選手?
どうしたものか、今シーズンは精彩を欠いています。彼と話をしたところ、エスクードのメカニカルな部分が、彼のパイロットについてこられない問題が発生しているのだそうです。ああ、そうか。根っこの部分で、初代はクロカン四駆だったのだと、彼の抱える課題にアドバイスをしました。後藤エスクードが最終戦までに、うまく調整できるかどうか。彼はきっと打開策を見出すことでしょう。