二階堂裕さんが昨日リリースのスーパースージー収録の随筆で「今年、来年の新型ジムニーは無い」と明言しています。なにさいきなり、と思って尋ねてみたら、
「以前雑誌が騒いだじゃない。それがインターネットにも飛び火しているからさ、ちょうどいい機会だから無いよと言ってあげた」
日本ジムニークラブの会長が言うのだから、きっとその通りなのです。といっても二階堂さんといえどもメーカーの人間ではないので、実働状況をどこまで掌握できるのかはわかりません。
なぜ「無いよ」と断言できるのかは企業秘密の域なんですが、そのあたりはこちらがエスクードの開発が進んでいるとかいないとか停まっちゃったよとか消えたわとかを知り得るノウハウと同じようです。
次のジムニーがいつ登場するのかなんて、僕としてはまったく興味がないのでこの話はここまで。ただ、二階堂さんの随筆に綴られた、ジムニーファンとして要望したい七つの項目は、この四半世紀近くで流行に押し流されすぎた四輪駆動車の回帰案という意味で、支持しておこうと感じました。
以下は、あくまでも二階堂さんの私見による要求項目。
1 JB23のフレーム・サスペンションをそのまま踏襲。
2 ボディは新設計し、オープンモデルのみとする(脱着可能なハードトップを持つ構造とする)
3 TD01W(エスクードノマド)に相当する5ドアモデルの1600ccを追加する(これもオープンのみと書いているところは「ええっ?」と思うけど)
4 商用車ナンバーとして設計する。
5 ボディ形状はSJ30からの合理性を踏襲し、良いところは元に戻す。
6 徹底した軽量化を図り、快適さよりも優先する。
7 丸型2灯で汎用品であるガラスのへっトランプを採用する。
3の補足として、5ドアものはオープンボディに脱着型ハードトップを載せたものと考えられており、メーカーサイドでは3ドアも5ドアもソフトトップ(幌)を量産せず、そこはアフターマーケットに任せるということのようです。
つまるところ、4輪駆動車の使い道や基本性能の引き出し方には、快適さを追求する必要はないし、ドアの内張りさえ軽量化の妨げという、軽量化の提言。だからあえて4ナンバーで開発すべきという考え方ですが、確かに現在流れのままにジムニーをフルモデルチェンジさせると、現行の燃費基準をクリアするにしても、またぞろ余計なシステムや装備を加えて車重の悪循環の繰り返しになりかねない。そんなんだったら初めから軽いのを作っておくほうが、蓄積された性能を踏襲し続けられるでしょう。
二階堂さんは、これで年間15万台の販売は見込めると試算しており、「でも生産台数として多い方ではないから、価格設定についてはアルトの4倍の利益を含んだものでいいでしょう。ジムニーは安売りする必要のない車」と延べています。
しかしこの提言は、王道でありながら、現在の車づくりというより販売戦略としては、極めてニッチ中のニッチであります。要は、えらい人のお眼鏡にかなうのかどうか。特に販売、営業サイドの支持を得られるのかどうかにかかっていきます。長期モデルのリリースは、開発費を縮減しつつ元をとれるメリットがありますが、ジムニーでさえ、新型情報を探し回るネットユーザーの欲求から逃れられない。このマイナーブログにおいて、次期、とかニュー、とか新型の枕詞で、ジムニー検索でやって来る人が、この短期間で500人を超えているのです。ましてやメーカー内で年間販売台数や利益抜きで評価される車なんてものは、よほどのことが無ければ成立しない。
それでもこの手の提言を書き出せるだけの魅力がジムニーには在るという事実は、うらやましいものです。これと同じことをエスクードに対して突きつけられるかどうかを考えてみると、1500ccのエンジンを積んで、コンバーチブルの初代エスクードを復活させることくらいしか思いつけない。3代目エスクードのラインにおける品質の良し悪しはさておき、あれを産み落としたメーカーのモノづくりは大いに評価できるわけですから、それらをすべて切り捨てて原点回帰しなさいよと言っても、社内の誰一人「その通りですよ」とは言わないよねえ。