Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

かるーくホラー

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焦点あってないよ・・・

最近、ここでよく寝てるはな。
おねがいだから
目開けたまま寝ないでくれ
まぢびびる・・・

 

善と悪の狭間で

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前年に始まった第二次怪獣ブームと変身ものの爆発的な増殖が、1972年から展開した特撮ヒーロー番組を飾りました。「仮面ライダー」の功績が大きいのですが、これに続いて「変身忍者嵐」が4月に放送開始されたかと思うと、7月8日には「人造人間キカイダー」がスタートしました。翌年なんかさらに4番組もの「石森章太郎劇場」(便宜的呼称)が繰り出される石ノ森作品の群雄割拠の時代、ライダー、嵐、キカイダーは造形的共通項を持たないところがすごかった。

中でも人体模型からヒントを得たというキカイダーの造形というのは、気持ち悪いのかかっこいいのか子供心には判別できない意匠ながら、良心回路の設計ミスでそうなってしまったとはいえ、どうミスればそうなるのかこれまた見ている方が困惑しました。その上ドラマの方がどちらかと言えばハイティーン向けで放送時間帯も8時だョ!なんとかいう裏番組に真っ向勝負。少年サンデーの連載漫画もハードストーリーと、快活なヒーローへと転向したライダーには不可能な領域に挑みました。

キカイダーもまた後番組によって群像ヒーローの括りに組み込めるのですが、50年前は善と悪の思考に苛まれ、追手と戦い造物主を救わねばならない、異形で孤独な人造人間でした。物語を二重三重に複雑化もせず、ぞろぞろとサブヒーローや味方の追加戦士が出てくることもない(ハカイダーの解釈は別です)。ロードムービー仕立てのドラマ構造によるギターを持った渡り鳥という、当時から更に10年ちょっと前のスタイルを70年代風にアレンジしたジローの姿は秀逸でした。

仮面ライダーとの差別化が顕著だったのは、キカイダー自身の造形もさることながら、ジローが旅をする際のサイドカーと、キカイダーにチェンジしてからのサイドマシン。出自は有名でサイクロンとは格が違う。よくもこんな車両を持ってきたものです。どちらが好きか言えば、僕はチェンジ前のサイドカーの方が好きなのですが、50年が過ぎてこれらをチープと見るか色あせていないと見るかは趣味の領分です。そんなことを思い返すくらい、かつての子供は歳を食ってしまいました。

奇しくも先月末、この番組の音楽を担当した渡辺宙明さんが亡くなりました。と言っても僕はなんだか溶ける前の金太郎飴のようなどこを聴いてもどこかで聴いた(一例としてバトルフィーバーJとスパイダーマンのイントロ)ような気になる宙明さんの楽曲はいやなんですが、人造人間キカイダーのそれはギター、口笛、トランペットに至るまでウィットに富んでいて、どこかロックで攻めている楽曲は印象的です。一押しは最終回でのみ流れた「どこへ行くのか」でした。合掌。