Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

もう一度作って!

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何が映画興行の失速になっていたかと言えば、作り手がマネジメントよりも描いたイメージと理想に固執し、現場は近未来と空想科学に対する新しい映像・縁起の概念を勝ち取れなかったことなのだと思います。この年、東宝は年末に「ゴジラ」を復活させますが、怪獣映画に関してはそれができていた。「さよならジュピター」は早すぎた大作だったのかもしれません。それじゃあほんとに目を覆うようなひどい映画だったの?とも思えないのが本作なのです。

封切り前年の夏、予告編を観て、銀座の画材屋ビルで開かれていた同作撮影プロップ展示会でミネルバ基地やトウキョウⅢを作った小川正晴さんに偶然会えて立ち話ができて、こんなにうらやましい世界があるんだなあと感じたまま年を越して、1984年3月17日、実は行列もなく初日の初回を観てそのまま2回目も観てきました。ムック本は知る限りでは2冊出版され、映画の紹介よりも楽屋裏のドタバタを披露しているところが面白かった。

だけど、昨年、NHKが特番で流した「シン・仮面ライダー」の制作現場でぶつかり合っていた現場と監督との埋めようの無い温度差を見て、「さよならジュピター」においても同じことは起きていたのだと感じます。それでも詰め込むだけの情報を詰め込まされ、限られた尺の中でやらねばならないことを、現場はプライドをかけてやり遂げていると思います。40年前ですよ、おそらく、特撮というよりもSF映画の世界は黒船襲来を体験していたのです。

映画の評価が低かったせいか、はたまた版権管理の会社に事情があるのか、しばしば小松左京特集が組まれるWOWOWあたりではこの映画は取り上げられません(Amazonprimeでレンタル可能ですが)。そんならもうそろそろ、リバイバルではなくリメイクしちゃったらいいじゃないですか。詰め込み度合いで言うなら、「シン・ゴジラ」でそれは実績を持っています。技術も格段に進んだでしょう。脚本家も何を切り捨て何処を見せるかというセンスが育っている昨今です。