大雨警報が出ているというのに三陸沿岸への仕事。夜には盛岡へ移動し仕事してビバークののち、日曜日には再び宮古という、天候にそっぽを向かれたら楽しくもなんともない週末の出張は、部下二人とじゃんけんの末決定しました。
えーそうですとも、最初の一回で負けましたよ。大槌町は吉里吉里の海岸で「ばかやろー! どこが梅雨入りだっ、これは台風だろーっ」てな叫びをしてきましたよ。
だいたいね、本来なら大槌と宮古なんて、30分程度の距離なんですよ。
三陸沿岸での仕事が多かったせいか、山瀬による低温で、それこそ梅雨の意識はちょっと前に帰省した時と、先日の福島でしか体感していなかったので、仙台界隈がまだ梅雨入りしていないことにも気づきませんでしたよ。
今日あたりに梅雨入り宣言が出るらしいのですが、記録的に遅い年回りだとかで、ということは夏も後ろにずれ込むのか、はたまた夏は時短されてしまうのか。
冬から春が駆け巡るのは異様に早かったのになあ。もうそろそろ夏かなと思わせておいて、夏の前に涼しい時期がいったん戻ってくるというのが宮城以北の沿岸。いや仙台郊外だって、窓開けて走っていればエアコンなんかまだ必要ないです。
とはいっても、市内で仕事をしている場合は、作戦室に戻るや否や風呂に飛び込む習慣が出てきたので、夜中に来ていた春物を一通り洗濯してタンスに押し込まないといけないようです。
しかしテーブルがいまだに炬燵だというのは大いに問題あり・・・
例によってどのあたりが花塚山かはわかっていないんですが、山麓のモニタリングポストで空間線量をみると、場所によっては仙台並みの数値に戻ってきていて、除染の効果が出ているんだなと感じます。川俣町の町長さんに聞いたら、5月に山開きを果せたとか。少しずつでも山登りのための環境整備もしなくてはと話しておられました。高齢化と過疎化に対峙する復興の街づくりを進めている川俣町は、それでもまだ、山越えして浜通りに向かう途上の飯館村と比べたら、ずっと運に恵まれたということでしょう。
福島第一原子力発電所の場所を思えば、川俣にしても飯館にしても、なぜこんな目に遭うのかという距離と位置関係。その日たまたま、風向きに乗せられたプルームが飛散したかしないかのことでしかなかった。そこに国道も県道も中通へ通じていて、浜通りからの避難も本来は合理的なルートと言えたでしょう。心配事の9割は起こらないという話もありますが、残る1割に当ってしまうのも、確率なのです。そのまま南相馬へ降りていくと、プルームの影響を受けなかった場所では、少しずつ4年の時間を取り戻そうとしています。
再び川俣町。あの「店長」がいるコンビニエンスストアは、浪江や南相馬へ向かう街道筋にあり、そして店長は時々、花塚山の方を見上げていることがあります。そこから見えるどのピークが花塚山か、前述のとおりよくわかっていないのですが。今度の冬には、その頂上から「見えるかもしれない富士山」を捕える人が現れるのかもしれません。そんな冬に至る、夏の始まりです。
震災復興のがれき処理で知り合った、JAC(ジェー・エー・シーと呼びます。ジャパンアクションクラブ、ではない)という解体業とプラスチック廃棄物の中間処理業を営む会社が、宮城県の東北道村田インターチェンジ近くにリサイクル拠点工場を有しており、その見学におじゃましました。業務契約した地方公共団体の町から排出されたプラスチック廃棄物(菓子袋だとかペットボトルだとか)を回収・破砕・溶融して固形燃料化をはじめ二次製品化している会社です。
このリサイクル業務は、創業から20年にもなり順調に経営されていますが、社長の真野孝仁さんは、資源活用、エネルギー再生、リサイクルへの意識啓発といった視点から、ある意味リサイクルの六次産業化を図り、消費社会の中のリサイクルの文化を育みたいというテーマを抱いています。
こう言ったら失礼なことは承知で舞え置くと、企業規模としては決して大きくないこの会社が掲げるテーマとしては、志の高さに対して、背負うものが大きすぎる。それは本来、国レベル自治体レベルの政策的な取り組みでしょう。
「その通りです。が、声を上げ活動する人がいなければ、その政策も芽吹かない」
というのが、真野さんの手にした蟷螂の斧(おいおい、ほんとに失礼だな、俺)。だから思い描いたことは実行してみようというのも、真野さんの魅力です。真野さんと初めてお目にかかったのは、震災の年の今頃。石巻の雄勝でがれき処理のための特殊破砕機を拝見したときのことで、この機械がアジアに二台しかなかったもの。油脂類を抜き取った自動車を放り込むと、1分足らずで粉々に破砕し、金属と非金属に分別して処理するというドイツの機械でした。これをがれき処理に応用し実験しておりましたが、後に名取市のがれき処理現場において投入されました。
その頃既に、プラスチック廃棄物の固形燃料化以外の道を模索していた真野さんは、インターロッキングブロックに近い二次製品を自社生産するようになり、施工性の良さと耐久性の高さで少しずつ需要を獲得しています。震災以降、被災者の臨時雇用に始まり障害者雇用のA型認定を獲得し・・・と、この4年間で、この会社、なんだったっけ? と思わせるほどに、リサイクルの観点から事業をふくらませています。
今年になって、工場に大型のバイオマスボイラーが増設され、何を始めたのかと思えば「温泉が出たのでこれを加温する」という。もちろんボイラーによって沸かされた給湯は廃棄物の洗浄に使われているのですが、用途を広げて温室野菜の栽培も開始しています。この秋には、それらを組み合わせたリサイクルパークをオープンさせるため、自社施工で温泉水の利用(たぶん足湯)施設や、野菜や雑貨の販売コーナー、温室でとれた野菜を使ったピザ販売などを考えているとか。
すごいわ、それ。
さすがに自社施工で試行錯誤のためか、6月とされていた仮オープンは夏以降にずれ込んでいますが、ずれているなら今の内にアピールしちゃえばいいじゃんと、言いふらし応援を買って出ました。成功できるか否かはまだ見えませんが、これはとにかく、9月になったら再び見学企画をお願いして工場を訪ねたいと思いました。
パジェケンさんの案内による福島の林道ツーリングは、ことしで4回目。少しずつ参加者が増えています。毎回同じルートだから飽きるかもしれないなあと思っていたら、ことしは麓が薄曇りでも中腹にガスがかかっている。あーこりゃ雨降りかと山に分け入ったら、昨日の夜に降った豪雨で、路面はマッドにこそならないもののかなりの流水と水たまり。走りながら撮影するのは大変なんてもんじゃありません(窓から手を出すから機材も片腕もずぶ濡れ)
さらにweb用の撮影は先回りして走ってくる様子を撮るので、この時点でもう全身水浸し。そういうときに限ってカッパを用意していないのです。しかしガスがかかっているのは中腹のみ。標高を上げていくと次第に雨あしは弱まり、雲の上に出て行きます。
が、この時期の林道は藪が張り出し始めていて、前走車を追いかけていくと幾度も視界を遮られ、シャッターチャンスを逃しまくりです。ついでに言えばそこかしこに落石があるしクレバスがあるしで、油断しているとぶつけたりはまってタイヤを裂いたりしかねない。そういうリスキーな条件を頭に入れて走る必要があります。それでも下界より涼しいし、この天候だと虫がいないのでまだましな部分もあるんだけどね。
今回は午前中に見学会を組んだので、林道は寄り道遊びもせずに2時間走り込んでお開きとなりました。まあ勝手のわかり合っている面々だからそれでも良いのです。でも次回は温泉つけてくれとリクエストは、当然ながら出ました。
いや、ほんとなら温泉入れてたんだよ。見学会のほうで・・・ 先方の工事が遅れてたのは計算外でした。
その話は後日。