Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

汝の光を見よ

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brothersblues税金が払えず、取り壊しの憂き目に遭っている、自らが育った孤児院を救うために奮闘する。神の啓示を受けてのことだから、“生業”である“盗み”で稼ぐことは禁じ手とさせられ、インチキ混じりでもまっとうな手段で金を稼いだのに、なぜか警察やらネオナチやらに追われる身となってしまう哀しい性。
すさまじいばかりの豪華ゲスト・ミュージシャンたち。主役の2人は「サタデイナイト・ライブ」のコメディアンじゃなかったの? という観ている側の疑問は受け付けてもらえず、5000ドルの資金稼ぎのために、バンドが再結成されていくのです。

抱腹絶倒な展開と、都合68台のパトカーをぶっつぶし、カントリーバンドにネオナチに州警察ばかりか狙撃部隊や州兵にまで包囲されてしまう騒乱と、男と女と、実は根底に流れるもの悲しいブルースの魂。
全身黒尽くめのこの兄弟は、神の啓示とやらを成し遂げるまでは、グレネードを打ち込まれようと、爆弾を仕掛けられようと、火炎放射器で焼かれようとも不死身の使徒。そして役目を果たした後は、監獄へ舞い戻っていく。
ま、こいつら下品極まりないんですが、自分にないものを持っていて、爆発的なインパクトで見せつけられると、ついついごひいきにしてしまいます。

どっちをだ?

どっちも良いんですが、ここは監督のジョン・ランディスとともに脚本を書いたダン・エイクロイド・・・ではなく、ジョン・ベルーシを推します。そういう風体だし・・・
ジョン・ベルーシは、この映画封切りの2年くらい後、日本では上映の翌年に薬物中毒が原因で急逝してしまいましたが、ある意味切れた役柄の中で「ブルース・ブラザース」のワンシーンでは、ちょっとだけハっとさせられたものです。
婚約者であった女性(キャリー・フィッシャーだってんで、封切り当時はびっくり)につけ狙われ、銃口を突きつけられた刹那、これも嘘八百を並べ立てて命乞いをするのですが、その直後に彼等のトレードマークのサングラスをぱっとはずす。小汚い素顔にぎらぎらと輝く瞳が、妙にかっこよかったわけです。

もちろん僕には、この兄弟のような、他人に勘違いされても意に介さない純粋な生き方はしてこられませんでした。上映当時の彼らよりずっと歳くっちゃったし、なにしろ神の啓示なんてものを、まず信じないタチですから、聞こえていても気が付かないのです。ただひとつ、81年の3月、チョコレートをもらったお返しにロードショーに連れて行ってあげて、うまく行ったというお話があることはあります。今どきの女の子がこの手の映画を観て受けるかどうかは保証の限りじゃありません。今だとDVDに頼るしかないから、それを見せる為に部屋に連れて来なくちゃならない分、ハードル高いよね。

だから万が一、全国のどこかの小屋でこの映画がかかっていたら、その近くに住むあなた(オトコ)にとっては、汝、光を見たか! と教えてあげたいです。おぢさんはすでに、義理チョコなんかもらってもありがたくもない年頃になっちまったけれどね。