つくばーど®の独りリポートで既に出してしまっていますが、「外房漂流」での最後の立ち寄り地、カフェ923は、商業写真家、國房魁(くにふさ・はじめ)氏が福岡県から上京して70から90年代くらいの東京住まいで活躍したあと、今のいすみ市に購入した土地に建てたご自宅で、娘さんがお店として利用しています。調度品もすべて國房氏が使っていたもので「統一感がまるでないんです」と。氏の晩年はここを拠点に、千葉県の観光広告などを手がけていました。
國房氏が逝去されて10年ちょっとが経ち、ミノルタカメラのCМからは半世紀も経っています。つくばーど®のリポートにはそこまで書きませんでしたが、あの有名なジーンズ脱ぎは篠山紀信さんの作だったと記憶していました。ファンの方々やお身内のお話だと、実際には國房氏が撮っていたらしい。業界的にありそうな話だけれども、お店のアルバムには収録されていない。今更そのあたりのことを詮索してもせんないのでほっときます。
「千葉に出るには今はそう遠くないけど、なぜここだったんですか」と聞いてみたら「ここの番地の末尾が92の3だったから。『ここはぼくんちだよね』って」と奥方が楽しそうに話してくれました。氏は知人友人から「くにさん」と呼ばれていたそうです。
お店は開業からちょうど10年。当時僕は東北赴任だったので、訪ねたかったずっとの念願がかないました。