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  ~懲りない傾向~

関を越える

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松尾芭蕉がおくのほそ道を歩いたのは1689年のこと。深川からみちのくを目指し、主だったところで日光、那須、松島、平泉、堺田、山寺、湯殿山、象潟までを北上して、そこから北陸路を経て大垣に至る約150日、2400キロに及ぶ旅でした。

心もとなき日数重ねるままに、白河の関にかかりて、旅心定まりぬ。

みちのくに入り立つ白河の関あたりまでは、芭蕉自身もこの旅の行方が不安であったとみられます。白河に至ってようやく気持ちが落ち着いて、まずは須賀川の地を目指していきます。

季節は初夏の少し前。江戸を発って6日目には黒羽に到着していながら、そこで2週間も滞在していた背景には、心許なさの前に彼の門人の世話が手厚かったからなのでしょう。

東北側の奥のほそ道ルートは、物心のついた頃に親に連れられてキャンプ行脚をしたことがあるようですが、僕自身の記憶には残っていません。その後何度か、同じルートのトレースをやっていますが、僕の旅ではまだ、福井から大垣へのトレースが残っています。しかしこれまで訪ねて見た芭蕉の足跡は、たぶん観光としてしか見てこなかったのだろうと思い始めています。今回、自ら白河の関をはるかに越えて暮らすことになって、そういうことなのかと、何度目かの芭蕉に対する解釈の更新が行われています。

さてさて、いつまで心許ない気分に苛まれるのやら(笑)。とりあえずいっぺん帰宅はします。