そりゃ企画段階でぺらぺらとしゃべれるはずもないでしょうが、押井守監督がインターネット放送において「機動警察パトレイバー」の実写映像化について問いただされ、意味深なコメントを述べました。
パトレイバーの実写といえば、過去にパイロットフィルム的な試みが行われ、特番や特典映像でも世に出たことがあります。数日前、コミカライズを担当したゆうきまさみさんなどは「どの作品もドラマ化の話なんて来たことありませんよ」とツイートしていましたが、横のつながりは定かではありません。
現実の建機の世界があれだけ進んできたほどですから、それこそ映像技術の方はもっとやりたいことができる。二足歩行でがしがしと走り回り、五本指のマニピュレータで超大型拳銃や電磁警棒を振り回すなど、造作もない。だけど、これまたそれこそゆうきさんのデビュー時代のアニパロ漫画じゃありませんが、いまどき変形も合体もしないロボット(注 ウルワシアスGで検索してください)を・・・ というのが、パトレイバーにも当てはまる。僕は嫌いですが、世の中実写ロボットはトランスフォーマーの域にまで行ってしまったのです。
いや、実写って、実写じゃないんだよ実際には。
ここへきてパトレイバーを特撮(多分こっちの方がしっくりとくる)で作るというと、押井さんのことですから、実験的な描写技術を携えてのことと期待しています。が、この人のロボット感は、いわゆるイングラムやグリフォンのような八頭身でかっこいいといったそれではない。むしろ歩く鉄瓶か魔法瓶という物言いを、かつてはレイバーに対するイメージとして語っていた人でもあります。そこが原因で、デザイナーの出渕裕さんとは大喧嘩になったとかそれ自体がやらせだとかの件も有名な話でしたが、押井さんが一時期仕事に恵まれなかったとき、彼を迎え入れたのもパトレイバーでした。
観客側がいまさら過去の波風をどうこう言う筋合いもありませんが、押井さんが「ルパン三世」で干され、「サイボーグ009」でも干され、という過去の映像企画の破綻は、それによってそれらの作品がぶち壊されずに済んだという功罪もあるのです。もしもパトレイバーの特撮化が実現するなら、いまどき変形も合体もしないけれど、AV98式って相変わらずかっこいいじゃねーか。というツボは抑えて欲しいところです。