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  ~懲りない傾向~

ニケさん

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先日の熊本行きで、だんご班長さんと共に初めてお会いしたエスクードユーザーの、ニケさん。二代目のFISリミテッドに、B.F.グッドリッチのマッドテレーンを履かせているという、履かせているだけでなくダートや林道には果敢に走り出す、元気な青年です。

このエスクードに触発されて、彼のお父さんもエスクードを手に入れて乗り回しているそうで、久しぶりに10年か20年遡るような、往時のエスクード乗りによく見受けられたものと同じ、スピリットの塊を見せてもらった気がします。

 

それは、一度はエスクード(二代目)を手放しても、意を決して現在のノマドで復帰しただんご班長さんや、クロニクルのために貴重なディーゼルの二代目を鹿児島から茨城までフェリーと自走で持ち込んでくれたり、三代目に乗り換えたあとも再び同じ経路で披露しに来てくれたしんいちさん、同行してくださった方々も同じなのですが、ニケさんの何気ない一言が、ふと印象的に耳に触れたのでした。

「今月末の南阿蘇ピースライドには、我々は参加しないんですか」

熊本で行われているピースライドというのは、全国的にも所々で行われている、バイクツーリング中に車種やグループ、個人の分け隔てなく、ピースサインで挨拶しようというもの。集合場所を決めてのミーティングなどもあるらしいです。だんごはんちょうさんもニケさんも、エスクードだけでなくバイクに乗っているのです。

「こっちではそういうのが盛んなんだ? エスクードがデビューした頃は、僕らもエスクード自体が珍しかったから、出かけた先ですれ違う時は手を振って挨拶していたねえ」

「えっ、ホントですか! エスクート゜同士でですか?」

「そうだよー。波長が合いそうと思ったら、留まっているエスクードのオーナーさんのところに行って、どこから来たですか、とか声もかけていた」

「うわー、それいいなあ。俺もやっちゃおうかなー」

ここ。この楽しそうなリアクションが、とても印象的で、そして嬉しかったのです。

もともとが、エスクードを最初に買った頃、僕はインターネット環境を有していなかったから(平成元年、ネット環境を持っていた人は相対的に少なかったんじゃないか?)、コミュニケーションの手段は現場でしかありえなかったのです。それだって、そのことがきっかけとなって交流の続いている人はいないのですが、現在のファーストコンタクトの相当な部分がインターネットに依存している時代よりも、ドキドキ感と面白さはあったように記憶しています。

実際、今回僕はマツダロードスターで移動し、そりゃもうどこの馬の骨かもわからない風来坊で、彼らのあとについて走っていても、それがひとつのグループになんか見えなかったでしょう。大津の道の駅から始まって阿蘇の半分くらいをぐるっと回ってくる間、オープンスタイルのクルマとはいくらでも出会っていますが、「やあ」とサインを送ってくれた同種のクルマは、1台もありません。カルデラの底へ降りる途中、トレッキングに来ていた女子高生のジャージ集団だけが、だんご班長さんから僕までのそれぞれのクルマに手を振ってくれただけでした(前回も書きましたが、おじさんもう思わず手を振り返しちゃったよ)

このエスクード黎明期のエピソードを聞いてくれて、楽しそうな顔をしてくれたニケさんには、僕もまた嬉しいことだねえと思いました。ニケさんがそれを実行してくれたとして、リアクションしてくれる人がどれだけいるかは、期待することはできませんが、なによりニケさんが聞き流すことなく受け止めてくれただけでも、良かったと。