昇る太陽を待ち受けるTA01W。1990年代当時にリリースされていた、イタリア・オートエキスポ製のキャリアとガードを取り付けたシルエットは、ぱっと見たら、うちで乗っていたヘリーハンセン・リミテッドベースの最終形態そのものですが、ヘリーハンセン標準だったキャリアエンドスポイラーが付いていないことで、この個体が別のエスクードであることが識別できます。
つくばーどのギャラリーにも出ているこのハードトップは、コムロさんが最初に乗ったエスクードです。
当時、このスタイルのコンプリートとして、「スーパーデザインコレクション」というコーディネートがオーダーできましたが、コムロさんはそのことを知らず、ショップ情報を頼りに独力でこれを仕上げたそうです。僕がヘリーハンセンをいじった頃は、コンプリートオーダーはなくて、ガード類に関してはやはりディーラー情報から部品を見つけ出し、イタリアからスズキに船便が到着するのを待っていた経緯がありました。
こと、ガードに組み込む2種類4灯の補助灯に関しては、二度ほど車検が通らず、地元陸運と欧州法規のすり合わせで時間がかかりました。それと同じことを、数年後に、しかも隣町でやっている人が出てくるとは、思いもしませんでした。
「県道43号線で、実はその頃、そのヘリーハンセンとは何度かすれ違っているんですよ。まさか雷蔵さんだとは思いもしなかったわけですが」
彼と出会うのは、僕がエスクードに乗り始めて10年後の春のことです。そのときにはお互いに車が変わっているのですが、これがまたTA11WとTD11W(コムロさん)だという、なんとも数奇な出会いとなるのでした。