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  ~懲りない傾向~

極   意

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塚原卜伝と言えば(かなり唐突)、鹿島新当流の開祖にして「無手勝流」の極意でも有名な剣豪。秘剣とも云われる「一の太刀」を会得しながらも、戦わずして勝つというある意味ペテン師・・・じゃない、策略に長けた人物だったようです。我が郷土の出の人でもあり、悪口を言うつもりはありませんが、戦わずして勝つ、の無手勝流こそが、19回もの真剣勝負で無敗は別にしても、39回もの合戦をくぐり抜けてほぼ無傷というとんでもない戦歴を残したのではないかと思っています。合戦自体が散漫としたものだったか、状況に応じてどこかに隠れていたか、後年けっこうハッタリをかましていたか・・・などの知能犯的行動が伴わなければ、いくらなんでもそれはないんじゃないかという勝ちっぷりです。

以前、衛星放送でやっていた番組が地上波に開放されて、鹿島新当流を編み出す以前の卜伝さんの若き武者修行の日々を見る機会ができたので、これを見ていると、堺雅人さんのキャラだったらてへぺろっとかやりながら無手勝流の極意を見せても絵になりそうだと、納得してしまいました。が、大河ドラマほどの予算は出ていないらしく、そこそこしっかり作りこんでいながら、時々トンデモな映像処理の香取神道流が繰り出されるのが玉に瑕です。

いやまあ、面白いからいいんだけど。

決闘を申し入れてきた相手を小島に置き去りにして、自分だけ船で引き返すという、戦わずして勝っちっゃた逸話が、無手勝流の極意。しかし現代において、無手勝流は自己流、場当たり的、行き当たりばったりといった「出たとこ勝負」の同義語でもあります。うむむ、そう言われれば、全部当てはまるのか。でも卜伝さんの策略ぶりは、自己流には違いないけれども、行き当たりばったりとは違うような気もします。

後年、彼の没後に登場する宮本武蔵が憧れていたフシがあるように、卜伝さんの伝記というのは、思わぬ人が目にしているようです。その最も意外な人物というのが、機動戦士Zガンダムの序盤に出てくる地球連邦軍パイロットのライラ・ミラ・ライラ。第6話でエウーゴ側に奪取されたガンダムMkⅡ、アーガマの部隊と実戦を交え、第7話において「ガンダムMkⅡは一見無手勝流に見えて・・・」と語っています。これも多分、我流自己流という意味合いで使われた言葉と思われますが、彼女のキャラもまた、卜伝さんの伝記くらい読んでいたかもしれないよなと感じさせるムードがありました。