絶体絶命、もうあとがないその時、たった一言で状況をひっくり返せる名(そして迷)台詞。小惑星探査機はやぶさにこっそり組み込まれたバイパス回路で脚光を浴びた口上で、宇宙戦艦ヤマト2の真田技師長の台詞が引き合いでした。大本をたどると、この台詞の使い道は江戸川乱歩の冒険探偵小説に端を発するそうですが、サンダーバードに登場するレディ・ペネロープの執事兼運転手が、列車の車内メニューにココアがないことを事前に知り得て対策を講じたときに口にしているとか。
さらにはゼロゼロナンバーサイボーグが実験場から脱走した折、黒い幽霊団の科学者の1人だけが004の電磁波攻撃(彼にそんな武器があるというのも珍しいシーンですが)に「こんなこともあろうかと」とのたまい電磁波遮断の防護服を着込んでいて脱走がばれる。という展開があります。
はやぶさよりはもちろん、アステロイドリングにエネルギー吸収装置を仕掛けておいた真田技師長よりも早く、しかし運転手パーカーよりちょっと遅くこの台詞をつぶやいていたのが、科学特捜隊のイデ・ミツヒロ隊員であることも、はやぶさの一件で有名になったそうです。バルタン星人が逆襲してきた折、科特隊の作戦行動が二分されることがあり、あらかじめ2丁のマルス133を作っておいた。という展開。
いずれも、今日あることを想定していた、というものには違いないのですが、危機迫る状況下や主人が困ったときに出てきたのではなく、用意してあるから持ってって、というイデ隊員のタイミングは、作戦行動に余裕を得られるという点で、最も安心度の高い台詞だと言えます。
しかしこのマルス133。こんなに小型の光線銃でありながら、スペシウム光線と同等の威力を持ち、バルタン星人を迎撃できる逸品。後のGUTS(両番組の時代背景は諸説あるので、放送順として)のホリイ・マサミ隊員は、スーパーGUTSのエンジニアとして再登場した折、やはりこの台詞をつぶやいていますが、MG5なる巨大ロボットを作っていた口上として、のように見えて、実は開発したスペシウム砲がでかいもんだから仕方なく・・・といった感もあったりなかったり。