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  ~懲りない傾向~

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v-005「スズキはコンパクトSUVのパイオニアとしてVITARAやGRAND VITARAを投入してきたが、新しい『VITARA』が新世代のSUVとして、VITARAシリーズのファンだけでなく、SUVに興味をもたれるすべてのお客様を魅了するものと信じている」

ニュースリリースによれば、パリ・モーターショーにおけるメーカー代表のコメントは堂々たる自信に満ちております。配信された鈴木俊宏副社長さんの英語も聞き取りやすいスピーチでした。明らかにモデルの世代交代を行い、現行エスクードは生産終了させ在庫整理に向かうということです。

実際、満を持して誕生する新生VITARAには、沢山の顧客が現れることを期待してやまないのですが、いみじくもVITARAシリーズのファンとしてこのリリースをどうとらえているかといえば、誰がどうまとめてこう綴るのかについては、大本営発表だなあとしか感じないのです。

スズキが1988年に欧州市場に投入した「VITARA」は、洗練されたデザインに本格的四輪駆動性能を持ちながら、日常の生活でも便利に使えるなど、都市型コンパクトSUVのパイオニアとして高い評価を持って受け入れられ、新しい市場を開拓した。

今やスズキの広報所属の人たちにとっても、これは歴史の域であろうと思います。皮膚感覚として当時を知っている人はほとんどいらっしゃらないのではないか。ただし、新しい市場を開拓したという事実は確たるものですから、いつのまにSUVにくくっちゃったんだ?という一言はスルーできます。

これに続く1998年の「GRAND VITARA」はオンロードでの性能を向上させたクロスオーバーSUVとして男女を問わず世界中の多くのユーザーに親しまれた。

たった2行でまとまってしまう2代目のセンテンス。ここにすべてが語られていると思います。しかし2代目はクロスカントリーセダンとうたわれていた。オンロード性能を向上させたことは事実ですが、クロスカントリーセダンという言葉がいつしかクロスオーバーSUVに取り換えられてしまうのは、ファン側の真理としてはさびしい限りです。初代、2代にわたってこの車が世界的に著名となったのは、ラリーレイドでの活躍であったはず。だけど、2代目はGMの意見を取り入れすぎて、少なくとも国内市場では苦戦したことも事実(まあそんなことリリースに書くわけないのですが)

2005年に発売した「GRAND VITARA」は、フルタイム4WDシステムや四輪独立懸架式サスペンションなどを採用し、高いオフロード走行性能とオンロードでのスムーズで快適な走行性能を両立させ、世界で高い評価を得ている。

これはむしろ「4輪独立懸架サスペンションを採用しながらも」だったのではないかと思ってしまうのは、初代ユーザー目線だからなのかもしれませんが、3代目はコンパクトSUVと言いながらも北米市場を意識したことがあの寸法となり、国内やヨーロッパではちょっとでかいよ、と言われました。しかも肝心のアメリカの人々が、アメリカンサイズの車を手放さなかった。最終的に北米市場からは撤収したことで、拠りどころがヨーロッパに移行しているという市場事情を忘れてはならないと感じるのです。

さて何を言いたいのかというと、SUVと括ることによって本格的なオフロード性能とは従前とどう区別されてしまったのか、そのような土台の中で生まれた新生VITARAだけれど、エンジンレイアウトや車体構造をそれまでの骨太な四駆から一変させてもなお、ここがこうだから魅力的なのだという的確な評価を知りたいわけです。

メーカーには是非、すぐにでもハンガリーから現車を取り寄せ、「営業社員向けの試乗会」を開いてほしいと思います。こんなのはニュースや記事からの情報ではだめでしょう。営業さんが実際に触って運転して、出来栄えがどうなのかを肌で知ることの方がずっと重要です。