6日15時、宮城県の山元から福島県の浪江まで、常磐自動車道が開通しまして、その開通式典に招かれ、真っ新の高速道路を走りぞめしました。途中区間の福島県相馬、南相馬間はすでに開通していましたが、これをはさんで浪江まで行けるようになったことは、この界隈の人々にとっては待望の出来事です。
東日本高速道路の社長さんにうかがったところ、埼玉県の三郷料金所から仙台東部道路に乗り入れるまでが352キロで、この三郷料金所の開通が1981年だったそうです。まだ浪江から富岡までの約14キロが工事中であるものの、今月2日に自民党総裁安倍 晋三さんが相馬市で街頭演説した中で
「3月の1日に常磐道、全線が皆さん、開通するんです。しっかりとこの東北の復興の起爆剤に活用させようではありませんか」
と述べたので、これまで国土交通大臣が表明していた「2015年のゴールデンウイークまでに」という予定が前倒しされることになります。これはたぶん、震災以前の開通計画に戻ったか、当初計画より1年短縮されたか、の措置になるはずです。
これより早く、9月には国道6号線が福島県内全線復旧しており、未開通区間もこれを代用して走ることができます。ただしこの区間には帰宅困難区域が横たわっているため、オートバイでは富岡以北へは行けないし、浪江以南にも行けません。
多くの福島県内の有力者というか企業団体というかがずっと国への陳情をしてきた常磐道問題は、僕らの耳には2015年の3月11日がエックスデーだと入っていたのですが、安倍発言を聞き返すと「するんです」という物言いは、もう1日で確定ということなのでしょう。14日の衆院選に向けたプロパガンダであることも疑いの余地がありません。東北復興の尽力なのか、選挙対策で開通話題を利用したのか。ちょっと不愉快ですが、開通そのものは地元にとって歓迎すべき慶事です。
でも「実家の街にはいつでも帰れるようになる。今の暮らしを考えたら、もう戻りたくない」という声もまた聞こえてきます。3月に全線つながろうとも原発至近距離の土地に住むことはできませんし、慶事が震災記憶の風化を促すこともあるのだと考える必要もあります。