Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

ハヤテノゴトク

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普通なら100%ありえないところで、普段ならまず間違いなく1500キロくらいは離れて暮らしている友人と、10分ほどの立ち話をする。わずか10分と言えども(彼の仕事を邪魔しているのはこの際見逃してくれで)、千載一遇の機会を逃せるものかと、それでも一応遠慮がちに行こうと、そーっと玄関先の受付を回避して中に入ろうと思いきや

「雷蔵さんっ!」

 

彼は赤と銀の強化服・・・じゃない、制服にびしっと身を固め、玄関から飛び出てくるではありませんか。

うわーしまった! 思いっきり目立っちゃったぞ状態で、cyber-Kさんと富士山麓以来の再会。まだ1日あたり200人から300人もの急患がやってきているという、いっぱいいっぱいの日々が続いているそうですが、

「それでも昨日よりは少し落ち着きましたよ」

それはしかし、数の上での話でしょう。街のライフラインはまだ寸断。通電エリアは限られ、下水道も機能していない。津波のあとのあちこちには腐敗した泥のにおいと、重油のにおいが立ち込めています。この街の津波は河口から遡上してくるだけでなく、港の岸壁から一気に押し寄せてきて、広範囲に被害をもたらしており、瓦礫は道路上からどかされただけの、今はそれが全力という日々です。要救護者を受け入れる災害拠点病院も戦争に等しい。

そんなところにのこのこ出かけて行って!と叱られそうな僕ですが、僕は僕で災害復興に立ち上がっている人々と会うためにやってきております。その仕事が予定より少し早く完了したので、ちょっとだけ彼の職場に立ち寄らせていただいたのですが、激励されているのは僕の方という、なにをやっとるんだのオチになってしまいました。

彼らのチームはその後、任務期間を満了して、速やかに撤収していったようです。たくさんの人々が感謝をしていることと思われますが、人々はおそらく彼らの名前を知る間もなく、交代でやってくる彼らの仲間から、救護の機会を得ることになるはずです。颯の如くとはこういうことか。彼らはヒーローであろうなどとは微塵も考えていないけれど、偶像なんかでもないのです。