Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

かっこいいとはこういうことさ ~車体色その4~

2 Comments »

esc1318-150x150国内仕様のエスクードに採用された車体色の中で、不思議にも希少なケースが赤い色であることは、3代目登場時にラインナップされたブライトレッドⅡがあっという間にカタログ落ちしたことで、人気色になり損ねたエピソードでも明らかです。

このソリッド系の赤は実に久しぶりの登場で、最初のリリースは1989年式のゴールドウイン・リミテッドに用いられたミディアムレッド以来でした。こちらは限定色であり、初代のシリーズ中、唯一のモデルとなっています。マイカ、ソリッドを通して、赤系は2代目エスクードでは全く存在していません。

しかしながら、初代においてはもう一つの赤系カラーが、テンロクで言えば3型以降、非常に長く投入されました。ラジアントレッドマイカ。俗にワインレッドと呼ばれたカラーで、モデル末期(その頃はマーキュリーシルバーメタリックとのツートンカラー)まで活用されています。前項で少し述べた、11系や31系にも、この色は採用されていました。しかもこの車体色、Gリミテッドやゴールドウインリミテッドなどの特別仕様にも存在し、そのパーツを応用すると、挿絵のようなGコンバーチブル(モデルとしては存在しません)といった遊びもできるのです。

深みのある赤にマイカ系の光沢を兼ね備えており、初代のシリーズ中最もポップとエレガントを標榜したと思われる色でしたが、このようなラテン系かはたまた派手目かといった趣向はメーカーサイドでは本意ではなかったのか、51系への移行では2000cc以上には受け継がれていません。エスクードは2代目以降、シックなカラーリングに固定されていきます。それだけに、ラジアンレッドマイカは、冒険しながらも息の長い唯一の赤と言えるのです。

ところで、ラジアンというのは「円周上でその円の半径と同じ長さの弧を切り取る2本の半径が成す角の値」のことを示すのですが、もちろんこれはうっちゃりをかましてしまっていい別の意味合い。車体色の側で導き出されるのは「光や熱を発する」「輝き」という意味合いです。いろいろ紐解いていくと、スイレンだとかバラなど花の種類にも用いられていて、そこでは『深い紅色』とも解釈されているようです。このあたりの引用が、ルーツなのかもしれません。

バラの花には、レッドラジアンスという種類があるそうです。4月から10月にかけて、濃いピンクの花が咲くとか。濃いピンク・・・純粋な赤ではないのです。だからと言って三倍速い仮面の男が出てくるわけではありません。レッドラジアンスで有名なバラは、広島市役所の本庁舎西側に植えられている5~6株のそれ。医学博士故・永井隆さんの長崎の住まいに植えられていたものを株分けし、育てられているものです。広島・長崎原爆都市青年交歓会の記念として、長崎の青年団体を通して永井さんから寄贈されたという逸話があります。永井さんは長崎で被爆し、負傷者の救護と原爆障害の研究に取り組んだ人物。この逸話もまた、ラジアンレッドマイカの由来とは直接結びつくものではありませんが、近しい名前にそんなエピソードがあることも、ひとつのイメージになるのではないでしょうか。