いよいよ開幕したTDA2013年シーズン。その開幕戦は、これまでこのレースを育んできたモビリティおおむたでは最後の戦いとなりました。
という前置きは長くせず、リザルト。アンリミテッドクラス、優勝は後藤誠司選手とエスクード。今季、ゼッケン1を取り付けた川添哲郎選手を押さえ込んでの、堂々の一位を獲得しました。これは昨年の開幕戦をまるごと覆した、後藤選手の雪辱でもあります。「意地でもチャンピオンを奪還するぞ」の気迫の走りは、モビリティおおむたのダートトライアル史に語り継がれていくことでしょう。なにしろおおむたの卒業式を飾るというタイトルは、誰もが奪い取りたかったであろうから。
「今回、反時計回りのターンと、スラロームをコース設計に組み入れました。最後くらい意地悪してやろうという主催者側の親心で」
Team WESTWINの島雄司監督は、大方のドライバーが反時計回りに戸惑うだろうと想定してのコースづくりを展開したのですが、後藤選手にとっては、戸惑うという思考能力そのものがなかったのか、脳が動作するより早く筋肉が動くのか、そんなものがなんだと大鉈を振り下ろすような豪快なコーナリング。その勢いはスラロームにもハイスピードで突入するものだから、手がつけられない速さだったそうです。
「私はね、ひょっとしたら雷蔵さんが誠司に、大牟田の最後で負けたらセッカンだ、とか電話でもしたんじゃないかと思いましたよ」
逆に、川添選手の方が、スラロームには苦戦したようだとか。これはおそらく、そろそろ限界に来ているミッションの問題や、後藤エスクードと比べてまだLSDを組んでいない川添エスクードの差が現れたのかもしれません。なるほど、先シーズンはその状態で3戦のうち2敗を喫した後藤選手ですから、開幕戦で負けたらただでは済まないという強迫観念が・・・たぶんなかったとは思います。
ともかくこれでおおむたの戦いは幕を下ろしました。第二戦からは恋の浦にステージを移しての新しいレースが始まります。言わばTDAの刷新とも言うべき第二戦になるわけですが、主催者側では事務レベルのハードルや苦労がまだまだ残されているらしい。四駆によるダートトライアルは、ターマックのジムカーナやタイムアタックほどに、まだ知名度を得ていません。クロスカントリー競技との違いも理解されていない部分もあります。ましてTDAそのものを絶えず取材しているメディア自体が少ないのですから、スポンサーの新規獲得も大変なのです。しかしそれでは、せっかく機運の盛り上がっているレースや、そこに関心を持ってくれているファンの声がどこにも届かない。
数も少なくなったとはいえ、これを応援できるのは、四駆を扱うメディアにほかならない。情報の発信者は現地にもいるのですから、各誌がその配信を受け取ってアピール支援するという手法は成り立たないものかと思うのです。ちなみに、このブログのTeam WESTWIN Warriorsシリーズは、けっこう高い閲覧数を得てはいるのですが、役に立っているのかどうかは定かではないのです。