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  ~懲りない傾向~

探検者への長い道のり

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vinland14新刊はだいぶ前に買っていましたが、雪村誠さんの「VINLAND SAGA」を取り上げる暇がありませんでした。読み切りを一本挟んで、「ブラネテス」以来の連載物にヴァイキングを持ってきたときには、いきなり千年も遡っちゃうのかと意味のない突っ込みを入れてみたりハラハラしてみたりでした。でもよく考えてみたら、このマンガもまたフロンティアを求める開拓者の物語で、主人公のトルフィンとは史実によれば11世紀のアイスランドの探検者にして、この時代五度にわたって行われたというヴィンランドへの遠征のうち四度目を率い、3回めの成功を遂げた人物です。ただし14巻においては、ようやく奴隷からの解放に至ったばかりで、まだまだ先は長そうです。

SAGAだとかサーガだとかいう言葉は、極端なことを言えば北欧や古いノルドの民が伝える神話や物語のことを示しており、ヒョウの顔をしたどこぞの剣士の話やらうだうだと続く機動戦士もののサブネームにくっついている方の使い方は亜流でしょう。その意味ではVINLAND SAGAは「どうだこのやろー」と言わんばかりの正統な表題となるはず。まあ素材がヴァイキングなんで粗野で荒くれで血なまぐさい話が延々続いてきたものの、それを引き継ぎながらも奴隷編から主人公のものの考え方が指向性を帯びていき、この新刊において一時の決着を見ます。そこへの持って行き方は、あっ雪村節だなあと思わせる落とし方で、いやーここまで長かったよようやくほっとしたよと読み終えました。

次巻が出るまでまた長いこと待ちに入るわけですが、まだ波乱と動乱はてんこ盛りなんだろうなあ。あとどれくらいでヴィンランドの地にたどり着くのやら、興味は尽きませんがあえて連載には手出ししません。