二階堂裕さんがブログにおいてパジェロ生産終了の件を、雑誌への寄稿で綴ったことを書いています。雑誌の方は読んでいませんが、言わんとしていることはスーパースージー誌上でも日頃の雑談でも幾度となく聞かされている「モデルチェンジ時の方向性の見誤り」についてです。
クロカン四駆として効率よく合理的に設計されていたパジェロが終焉を迎えるに至ったのは、その車体構造をモノコックにしたことから。という評論です。
しかしそのことを四輪駆動車専門雑誌以外で力説するとして、門外漢の読者(ばかりではないでしょうけれど)に理解できるのかしらん? とも思います。パジェロユーザーさんには悪いけれど、でかくなりすぎ重くなりすぎ燃費がとにかく良くならない。ついでに言えばシュッとしていたデザインがぬめっとしてきてかっこ悪くなったのと、高い。
一般の顧客層なんて、それ以上のことは考えないでしょう。でも、基本性能の話をするなら、ノーマル同士の両車で同程度の腕前同士がクロカンコースを走ったら、半分くらいのセクションでエスクード(初代)は勝てません。
ここからの展開で、二階堂さんはエスクードについても三代目以降の方向性の見誤りを指摘するのですが、これはたぶん、JB64を産み落とす祭に、スズキに対して行ったコンサルティングで散々モノコックを否定し続けプラットホームの存続に成功したからだと思われます。
エスクードではそれができなかった。「何をどう説明しても、技術陣がその『間違い』を理解してくれなかった」ということでした。
はたしてそうなのか? 僕に言わせれば、エスクードの見誤りはディメンションの拡大くらいのもので、技術陣が構造や駆動方式などの一新をやめなかったことは、クロカン四駆として生きながらえる道が閉ざされるという認識だったからだろうと考えています。その意味では、三代目はまあ、オーバークオリティと言っても良かったほどコストがかかってしまったのです。
四代目はさらにドラスティックな変貌を遂げましたが、ここまでのダウンサイジングが限度でしょう。これ以上小さくしたら、小型車としての意義をも失います。イグニスやX‐BEEがあるけれど、それらはやはりコンパクトコミューターであり、エスクードやS‐Crossとは用途が異なります。予告しても良いと思うけれど、いずれ出てくるジムニーシエラのロングモデルのディメンションこそ、スズキが模索している小型車四駆の理想形になるでしょう。
しかしおそらくそれは、初代エスクードのノマドサイズに極めて近いはずです。
もしも五代目以降が存続するのなら、初代がそうであったように、エスクードは再び小型車ジムニーを苗床にして機会をうかがうという道筋が残されています。四代目は「ブランドを維持していく」という結構重要な役目を担っているのです。やれ売れないとかマイナーだとか言われたところで、廃止されたら元も子もない。生き延びる道をつなぐところに、パジェロとの決定的な違いがあるのです。毎度エスクードを引き合いに出されるなら、回帰への道もぜひ切り拓いていただきたい。