宇宙鉄人 サイバロイド・グランゼル。と言われて、これを見た方が(知っていなければ意味がないんだけれど)どんな印象を受けることか。
「顔はわかるけど、形がぜんぜん違うでしょう。グランゼルはこんなに細くない」
ごもっともだと思います。が、たぶんそう言われたとしても、最小限の「線」と「面」で、現代風にアレンジしていっても、ごちゃごちゃさせないというイマジネーションは大事なことだとも思うのです。スーツアクターが中に入ることを前提としない、着ぐるみではないという最大のメリットも、この造形は遺憾なく取り入れていると感じさせます。
なぜ最低限の「線」と「面」かといえば、このグランゼルは、番組の設定に従い、「グランカー」への変形を、一部パーツの差し替えによって可能とした造りだからなのです。一部ということは、それ以外の部分にはポージングも含めた可動機構が備わっているというわけで、おそらく、知る限りにおいて、差し替え式完全変形グランゼルは、これが世界初(おおげさ?)の造形であると思われます。
比較対象としての、キャラウィールでリリースされたグランカー
これを作った早瀬五郎さんとは、お互いの友人が立ち上げているサイトにおいて、セブンイレブンが猛威をふるった「仮面ライダーボトルキャップコレクション」の「ダブったライダーの改造によるオリジナル作成」で知り合いました。とりあえず雰囲気が似ていればそれでいいやという僕の作例に対して、五郎さんの作例はオリジナルの持ち味を保ちながら、他の誰にもない全く違った印象をにじみ出させる(ボトルキャップサイズが、だよ?)作り方をしており、ライダーよりも敵改造人間の表情の方が生き生きとしている。
後に一度、東京で会うこととなり、そのとき見せていただいた十面鬼(仮面ライダーアマゾン)の出来映えには息を呑んだものです。
今回、世羅に出かけることを告げたところ、造船所のある街から、我々が途中立ち寄りする尾道まで、こちらの立ち寄り時間はほんのわずかなスケジュールにもかかわらず、このグランゼルや十面鬼などを携えて出てきてくれるという。JXCDのエスクードこそメインイベントながら、個人の旅の目的としては、次点にするのが申し訳ないくらい、楽しみな再会なのです。
ところで五郎さん、仕事もこんな手先の細やかな職人なのかと思えば、実は勤めは事務方らしく、ごく普通の勤め人として社会にとけ込んでいます(そんな言い方していいのか?) 本人は「雑兵とマジョリティ」なるブログを書いていますが、それって世を忍ぶ仮の姿で、どうみてもマイノリティじゃないのかと思うのです。そのあたり、尾道に同行して下さる仲間たちがどのように感じるか、大いに関心があります。