1992年の宣伝用スチル(上)と、93年のスチル(下)は、並べてみなければその違いに気がつくことはなかったと思われます。
遊牧民の雰囲気を漂わせる二人が佇む場所と、エスクード・ノマドの置かれている湖畔の位置関係は、今考えてみると、もしも彼らが乗ってきたノマドであるとしたら
「なんでわざわざそんなとこに置いとくんだよ」
と笑いたくなるのです。
ただ、それを差し引いても、この黄昏時の風景は、えもいわれぬ雰囲気を醸し出しています。一説によると、このスチルや、ノマド登場時の遊牧民たちの出で立ちは、実際にはどこの部族にもない衣装でもあるらしいのですが、それも言われなければ分からなかった。
上のスチルに対して、1年後にリリースされた下の写真は、より黄昏時を強調した色彩に変更され、ノマドのヘッドライトにも明かりが灯っていますが(つけっぱなしにしてきたのかよ、という突っ込みは不許可でしょうね)、ノマドそのものはまったく同じサンルーフ仕様でホイールも同じ。色彩などはソフト上で加工しているフシもありますが、同じ日に撮影していることは、積乱雲の変化でわかります。いや、案外、雲さえも書き込んでいるかもしれませんが、そこらへんはすべて棚上げです。
どちらのスチルが良いかは眺めた人の好みによると思われます。
エスクードの歴代の宣伝スチルのなかで、最高の出来映えだったのではないかと今でも感じるのは、やはりCGに依存していない臨場感と、想像力をかきたてるその風景のなせるわざだからでしょう。