マイナーチェンジしたエスクードのスズキ・スーパー・ポリプロピレン(SSPP)と呼ばれる新開発強化樹脂部品については、カタログ上では控えめでしたが、メーカーニュースとしては独立したトピック配信をしています。
世界で初めて市販車に採用した(自社調べ)というエポックと、その性能は、堂々とアピールすべき内容だと思います。今回は実験的な性格もあってか「スキッドプレート」にのみこの素材を使った。いっそのことエスクードから前後バンパーに採用した、というニュースだったら、もっと高い評価をしてあげたってよかった。
企業のプレスリリースというのは、隅から隅までよくまとめられていて、このリリース資料に対して、補足の質問はあまりしなくても記事は書けてしまいます。11日から13日にかけての何紙かの記事を読み比べてみると、ほとんどが丸写しか、細かく書くのは面倒だと要点だけに絞ったかのどちらかですが、どれもこれもリリース文面に言われたとおりの記事しか出てきません。検証的な取材はこれからなのでしょうけど、マテリアルに関してどれだけ熟知して書いているのかわかんないよなー、というのが、読み比べた感想。
よくできているリリース、とは書きましたが、落とし穴が無いわけでもない。このSSPPを採用したスキッドプレートを
「塗膜がないため、走行中の飛び石などで傷がついても目立ち難く、塗料から大気に排出される揮発性有機化合物(VOC)が発生しないため環境負荷を低減できる」
と発表しているのですが、いやそれは大筋では嘘ではないんですけど、スキッドプレートですよ? これを本来の用途で本気で使ったら、付いた傷が目立ちにくいということはまずありえないだろう。もちろんリリース内容では「飛び石などで傷がついても」と言っているので問題ないと思いますが、それだったらこの部品は「フロントアンダーストーンガード」と呼称するのが適当なのではないでしょうか。
こんなのはそれこそ重箱の隅をつつくような話なんですが、どこの新聞も、ツッコミを入れないまでも、スキッドプレートのくだりを鵜呑みで書いてしまうところが失笑ものです。一部の新聞が、バンパー部品、と逃げているのはなるほどと思いましたが。せめてクルマ雑誌、とりわけ四駆雑誌はそこを気をつけて紹介すべきかなと感じます。
しかし、ちょっと視点を変えて、SSPPで作られたスキッドプレートが、その本来の役目に対して、傷はついても使用には充分耐える強度を持つとしたら、これはこれで画期的な話なのですが。