ウエストウインの面々とは、彼らの遠征先で直接会えるものの、交流のほとんどは電話やメールでの情報交換を展開していました。島監督の談によれば、僕は監督とは2年周期でお目にかかってきたようです。
それじゃあ今年はその年まわりじゃないかと、気がついていたかというと、日頃のコンタクトの膨大な数で「なんかもう、すっかり隣人」という感覚であったため、まったく気づいていませんでした。そういえば、東日本大震災の日、最初につながった電話が、島監督からの安否確認と激励だったのです。
彼らのレース活動には、間接的にしか手伝うことのできない福岡と仙台の距離ですが、この2都市は空路で連絡されている。それならば、一度本拠におじゃまして(ほんとに仕事の邪魔にしかならなかったよ)、チームの面々とも会ってこようというのが、今回の福岡行きの不純な動機。すると監督の号令一下、航空券の手配やら宿泊先の確保やら宴会の段取りやら現地での足となるレンタカーの押さえやら、知らない間にどんどん進んでいたのです。
おお、なんて大名旅行(いや、旅券や車の支払いはしましたですよ)
そんな経緯で、チームのみなさんが集結するまでの時間を利用し、それぞれの課題で別々の場所にて作業中の、2台のエスクードの様子も視察させていただくことができました。後藤選手の専用機とは、世羅のJXCD以来の再会で、随分とモデファイが進みました。今季のTDAから投入されている川添選手の専用機は、最新のバージョンとして初めて目にすることになります。この個体がSIDEKICKさんの愛車だったことは周知のエピソードですが、51Wなのに11W顔。このパーツは、SIDEKICKさんのこだわりだったものです。
両車とも、11月のTDA最終戦に向けて調整を施していますが、後藤選手は10月に行われるJXCDにも参戦するとのことで、1戦多く活躍の姿を見ることができます。
「どちらのレースも、ドライバーが存分に戦えるだけの戦闘力を与えてやることが私の役目で、それを形にしてくれるチームスタッフが、この街には沢山いてくれます。みんな頼もしい奴らですよ」
早くからエスクードのポテンシャルを見出していた島監督は、先シーズンからTDAの流れに出てきた変化に対して、成果を得たことにある程度満足しているようですが、この変化は「打倒エスクード」という他チームのマークが強まったことを物語っており、ハイパワー車との対峙や、エスクードに拮抗する軽量・レスポンスを持つ他車種の台頭にも、油断できない緊張感を抱いているそうです。
「それとですね、やるからには勝つ信条で参戦してきたダートレースの世界ですが、まだ勝てていないやつが一つあるんですよ。これをなんとかせにゃならん」
思わぬ発言が出てきました。このあと、チームの面々が集まったところで、監督は一大宣言をするのですが、長くなるのでそのお話は次回。