恋の浦ガーデンで開かれた九州ジャンボリーとの共催イベント、JXCD第四戦の結果がきました。Team WESTWIN からは後藤誠司選手が参戦し、無差別級のP2クラスこそ第3位にとどまりましたが、群雄割拠の2000cc以下であるP1クラスは優勝を遂げたそうです。このP1クラスがなぜ群雄割拠かと言えば、オフロード系四駆のダートトライアルとして、無差別級に出てパジェロエボリューションと真っ向勝負する人は少ないということと、車両ではリッタージムニーや、それをベースとして改造するマシンの幅が広いということでしょう。
形はジムニーでもM18を積んで、足回りはどこかで見たフロント独立懸架でリアリジット(そんなの国産車じゃアレしかないのよ)などという改造車がやって来るわけです。
「乗れてました。見えてましたか?」
後藤選手はにこにこしながら島雄司に尋ねたそうですが、実は主催者ブースにいる島監督からは、コースを走る彼らの様子は見ることができないらしい。
「でも音でわかるんですが、M18の高音がまたいい音色で響き渡るんですよ。たいていの人はそちらに気をとられるはずです。しかしエスクードのJ20Aがカムに乗って響かせる音って、聞いたことないだろうと。今日はまさにその最高の音を聞くことができましたね」
つまり、後藤選手は徹底したファストインファストアウトでコーナーに攻め込み、アクセルを踏みっぱなしでコースを駆け抜けているのです。大牟田から恋の浦に移転する際、恋の浦の傾斜やアップダウンの切り返しについては、リスクが高いとまで言われていたのですが、九州勢は早くもこのコースをものにしてしまったようです。
「案の定ハイパワー車には一歩及びませんでしたが、全開で登って行って急速な右ターンを消化すると、今度は下りながら左のターンが待ち受けています。ここをよく攻略したなと思います。ノーブレーキなんですよ」
島監督の分析によれば、各コーナーでの細々とした処理にはまだまだミスの目立つ後藤選手ですが、肝となる一点を攻め込んだ時に猛烈な進化が見られるということです。ノーブレーキで行くことは、要するにハイパワー車が力みを抜く一瞬にタイムを詰め寄る、エスクードとしては非力さをどうにかカバーする作戦とも言えますが、このコーナリングにおいて、突っ込んでくるフロントに少しのブレもないというのが後藤選手の走りです。
この様子を見ていた主催者陣営も、
「島さんは、もう彼に教えることは無くなったねえ」
とつぶやいたそうです。
「まあ乗れているときの後藤くんには手が付けられないと、川添くんが言うほどですから、この勢いのままTDAでの勝負が楽しみです。後藤くんは後藤君で、パジェロエボの廣瀬選手に負けていますから、まだまだエスクードの戦闘力を引き出してくるでしょう」
今回、島監督は車体の軽量化を図っています。ヘッドライト、左右ドアの窓ガラスを撤去し、アクリル板に置き換えました。しかし監督自身は程度問題の対策として処置したとのこと。エンジンの性能に、まだ余力を見出しているというから、驚きです。何しろ言わずもがなの十五年以上前のクルマなのですから。