4×4マガジン誌もついに雑誌形態の維持を断念し、26日にリリースされた399号が事実上の最後の紙媒体となりました。400号からはweb配信のデジタル版へ進化するということですから、これは発展的決断ということなのでしょう。
しかしデジタル版、という進化は、やはりiPadというツールの登場あってこそ残せた道筋であって、電子媒体の市場が開けていなかった時代に折れていったいくつもの雑誌よりも、効果的なアピールができる点で恵まれています。果たしてそこから再びニーズをがっちりと捉えていけるのかどうか、それこそが勝負でしょう。
先日、ノスタルヂ屋の松浦正弘さんが面白い雑誌を紹介してくれたのですが、これがアイデアものというか、過去に発売された特定の車の、すべてのカタログとその内容を一冊にまとめたムック本でした。クラウンやセドリックなど、押しも押されもしない有名車種に限られているため、これを面白いとは思ってもほしいものにはなりえなかった。けれども、アイデアと素材は、手がけた者勝ちだなあと感心したら、このムック本は、「ジムニー天国」を出版しているところが編集、出版しているそうです。ジムニー雑誌は群雄割拠ですから、ジムニーの記事だけで生き残っていくのは、今後は難しいと思われる中、他の車種においてカタログムックという手法を編み出しているのは、企画の勝利でしょう。ただ、どんな車種ならそれが売れるのかと考えると、選択のセンスがまた難しい。
「でもね、資料的な価値としては、この手の本に登場してほしかったのです。カタログそのものの価値とは異なる、手元に置いておきたくなるアイテムだと思いますよ」
このムック本は、まさにカタログコンプリート集。よくぞそろえられたものと思えば、松浦さんも資料提供されたそうです。ムック本なので単価は高い。一通り拝見して感じたことは、これだけのものを作るときの割り切りはどこまでなのかと。その車種のすべてのカタログが網羅されているだけでなく、もしも、開発秘話だとか発見的なエピソードが載っていたら、さらに面白かったかもしれないです。
「エスクードでこんなのが出たら、そりゃあ買いますよ。でも最初から負け戦しちゃいけないけれど、エスクードでは出ないよなあ」
「それなら自分で作るべきです。後世に残る資料は、必ず後世で役立つんですよ」
そんな資金力があればなあ(苦笑)。でも、ユーノス500などのように、クラブや有志で資金を出し合い、記録集を出版している車というのも、確かに存在します。紙媒体が死滅してしまうのかといえば、商業ベースとはかけ離れたところで、道がまだ続いているようにも思えます。これもまた険しい道のりではありますが・・・