TDA最終戦とシーズンを終えて、チーム・ウエストウインの怒濤の1年が一区切りとなりました。最終戦は川添哲朗選手が優勝、後藤誠司選手は四番手に食い込んでおります。川添エスクードはやはり転倒のダメージが残り、ドライブセレクト4WDの動作に絡むセンサー類が破損しているらしく、またもや四駆に入りきらない場面もあったようです。それでもラリー用タイヤを組み込み、グリップ走行に徹した川添くんの走らせ方は、ダートトライアルのひとつの極めの粋だと思えます。
一方後藤くんは勝機に恵まれない1年でしたが、車体の劣化もさることながらここまで進めてきたメカチューンやROMチューンがまとまりきらず、エンジン自体もそろそろ限界にきている。最終戦ではまったくパワー、トルクを引き出せないお手上げ状態ながら、ベスト4まで勝ち残ったのは奇跡と言うより彼の意地でしょう。
しかも今回、宿敵であり彼らに土をつけたファイナルビーストの神野さんの参戦がありませんでした。先方の経営方針の変化があったらしく、レース活動の集中と選択が始まるのか、TDAなどへの遠征は今後は減少あるいは無くなる方向のようです。
こうなると、一矢報いることのできないウエストウインのWエスクード乗りとしては悶々とせざるを得ません。しかしその前にエスクード自体の復調を果たさねばならない。川添君の車両はもうしばらく現状維持とプラスアルファで行けると思いますが、後藤君の車両は、もはや各部の改造がバランスを取れていないとみなし、エンジンを素に戻すか、載せ替えを行っても過度の改造は行わない、あるいは載せ替え機種の変更検討を必要とするでしょう。
「J24Bという考え方もあると思いますが、我々の感触ではJ20Aと比べるとマイルドなのです。いっそのこと後藤君は1600にスイッチしてはどうかと・・・雷蔵さん、言ってみてもらえませんか?」
島監督との対話では、まだ結論が出ていないというか、戸口に立たねばならない段階。言えというなら言いますが、ここまで来たなら後藤君は拘りを捨ててSR20でも載せたらどうなのか? と、僕は言ってしまいそうですが。
レースゲームで名をはせてしまったエスクードのパイクスピークマシンは、今でも「エスクードすげー」と知らない人々に讃えられていますが、あれのエンジンは後半RB26のツインターボでスズキのV6ですらないし、パリ・ダカールラリーを走ったAPIOのエスクードもビッグホーンやパジェロのV6を積まなければ戦えなかった(パジェロエボのエンジンでは失敗しましたが)わけで、後藤君が余所のエンジン持ってきたからと言って誰も文句は言わないでしょう。