Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

もう一度TENDERNESS

もう一度TENDERNESS はコメントを受け付けていません

不測の事態によって大破したオジロを回収したHUSKY本部は、その善後策に追われていた。
つくばーど撃滅戦や対新帝国WANIなど、オジロに与えられた任務にはいとまがなく、稼働シフトに穴をあけることはできない。
しかもエンシュー連邦の工廠では、オジロの母体となっているDAA-MR41SのXナンバーを廃止し、これまでの開発お試し期間を満了してJStyleシリーズをWondererへと仕様変更し全国配備している。それを踏まえFlimitedシリーズもタフワイルドへ鞍替えするなど、装備の換装があわただしい。
これは近い将来、機種全体の代替わりが示唆されているとみなすべきだと、HUSKY本部は分析した。
だがオジロの運用部門はそれらの装備充実を認めながらも、趣味趣向の面で新型への移行を最良の案とはしなかった。
オジロにはオジロ独自の足回り強化や剛性補佐を施すなどの地道な手が加えられてきた。そうした親心が果たして善後策に良い結果をもたらすかどうかは評価しにくい面があるが、オジロ自体の伸びしろをもう少し活かすべきとの結論がなされた。
かくしてアラレ・アラシダに与えられた乗機は、ペイロード増強のためのルーフレール設定と、駆動系を後輪にまで及ぼし登坂力と走破性の向上が行われた。


地上の1日を数十倍にも引き延ばしてしまう時間断層内に秘匿されたドックで、その姿を偶然にも、搭乗者より早く目にすることとなったミゾレ・アラシダはこうつぶやいたという。

「やぁ・・・またオジロですね」

この一言が呼び水となり、深紅の乗機はヤマタノオジロと名付けられた。