Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

そして四半世紀

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軌跡コンセプト提言が29年前に行われ、4年後にこのクルマが登場したとき、世の中は昭和でした。他社にタフトやラーダ・ニーヴァのようにコンパクトな4輪駆動車は存在していましたが、国内メーカーにはまだその市場は芽生えていませんでした。ただし、苗床は「カリフォルニア」「カントリー」と呼ばれる仕様の、各社のステーションワゴンの中にあったように思えます。ホンダシビックシャトルは、最もエスクードのコンセプトに近い「クロカン四駆ではない」SUVの先駆けと言えるでしょう。3代目ワンダーシビックは、4ドアのフェリオがあとから追加されますが、3種類の車体構成という意味でも、エスクードの先鞭をつけていました。

今思うと、ジャンルは異なるとはいえ、ワンダーシビックの3ドアにカブリオレがラインナップされていたら、エスクードは負け戦のデビューになってしまったかもしれません。もちろんシャトルはクロカンなんかには使えませんでしたが、親父が持っていたことがあり、うちで使っていた頃、裏山に物資を運ぶのには重宝しました。

実はエスクードのデザインコンセプトが議論されたころ、二階堂裕さんは、シビックではなく、ホンダシティのスタイルを例に挙げて開発陣に説明したのだそうです。なるほどTA01Wの最も古い、オプションも取り付けないすっぴん状態の姿は、グリルまわりがプジョー205シリーズ風にまとめられていますが、ブリスターフェンダーはシティ譲りということか。いやはや、シティにロングボディが出ていたら・・・と、もうそういう余計なことを言うのはやめとこう。

クロカン四駆として見たとき、この中途半端さはなんなんだろう? と歯牙にもかけなかったのが25年前の僕の第一印象でしたが、JA71で出かけたスズキのディーラーを後にして、いきつけの喫茶レストランで注文していたのは、角切りステーキもミックスフライもパスタもピラフもワンプレートに載っている、「海賊セット」というランチメニューであったその心理に、当時まったく気づいていなかったのです。